Ghost of Tsushima:レビュー

公開日: 更新日:

3D Ghost of Tsushima アクション アドベンチャー レビュー 星5

この記事をシェアする
  • B!

 本稿は「Ghost of Tsushima」のレビューです。

本ゲームは、3Dアクションアドベンチャーゲームです。舞台は対馬で、鎌倉時代の"元寇"を題材にしたゲームです。主人公である侍"境井仁(さかいじん)"が、死地を経て、対馬救う英雄"冥人(くろうど)"となっていく物語です。(本編、DLC共にPS4版でプレイし、トロコン済みです。)


Ghost of Tsushimaとは?

このゲーム、本当におすすめです!とにかく面白い!もしも、"PS4で良かったゲームは?"と聞かれたら、私なら1位~3位のどこかには入れてしまいます。

本ゲームは、2020年7月に発売されたPS4/PS5用の3Dアクションアドベンチャーゲームです。Suker Punch Productionsが開発し、ソニー・インタラクティブエンタテイメントが発売しました。物語が進むにつれて自キャラも強化されていくので、RPGの要素も含んでいます。

詳細は後述しますが、とても珍しい時代を題材にしています。たしかニュースかなにかで取り上げられた時に、"この時代を扱ったゲームは初めてではないか"といった話があったほど。少なくとも私の記憶にもないですね。

そして、2020年10月には大規模なアップデートがありました。

これが驚くことに、マルチプレイモード"Legends/冥人奇譚(くろうどきたん)"の追加でした。本編はシングルプレイのみだったのに、全く別物のモードが追加され、再び大きな話題になりました。

システム的には本編を踏襲していますが、四人の冥人をプレイキャラとしたアナザーストーリーです。しかも本編とは違い、敵は魑魅魍魎。蒙古兵ですら屍人のような様相です。本編に比べると難易度も高めです。

さらに、2021年8月には"DIRECTOR'S CUT"がリリースされました。

本編に新たな物語として"壹岐之譚(いきのたん)"が追加されています。こちらは対馬島のとなりにある、壱岐島(いきのしま)が舞台となっています。こちらは、本編をある程度まで進めていれば、いつでも行き来できるエリアです。


鎌倉時代という題材

ツシマは時代劇です。

主役は侍。舞台は対馬。鎌倉時代の"元寇"を題材にしています。私も習った記憶はあるのだけど・・・と、その程度の認識です。でもそれは、私だけではないと思います。なにせ創作でも、あまりメジャーな時代ではないですし。

侍といえば、"戦国時代"が最もメジャーです。

織田信長や豊臣秀吉など、有名な武将たちの活躍を描いた作品は本当に多い。正直、武将の数が多いのと、親族間は名前が似過ぎてて覚えられないです。

コーエーテクモゲームスの"信長の野望"や"仁王"のシリーズもこの辺りですね。ゲームだけでなく、漫画、アニメ、ドラマや映画など、作品を挙げるとキリがありません。

もうひとつメジャーな時代といえば、"江戸時代"でしょうか。

小説、ドラマや映画だと、新選組や忠臣蔵、水戸黄門、遠山の金さん、暴れん坊将軍、雲霧仁左衛門、御家人斬九郎等々。"無限の住人"は若干パラレルワールドっぽいですが、ベースは江戸時代です。SNKの"サムライスピリッツ"もこのあたり。

それと源氏物語の"平安時代"ですね。

光栄(現:コーエーテクモゲームス)の"蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン"もそうです。モンゴル云々だとすでにゲームが出てた記憶があり、調べてみたらチンギス・ハーンは平安時代でした。そういえば、"源義経=チンギス・ハーン"説なんてものもあって、その手の創作も滅茶苦茶多いですね。

なお、最近大ブームとなった"鬼滅の刃"。

これは"大正時代"が題材ですが、"侍の時代"かというと微妙なところです。明治時代に廃刀令が発布されています。ですから、そのあとの大正時代では、帯刀は完全に違反しています。創作なのでその辺はどうとでもなるのですが、さすがに"侍の時代"ではないですよね。

では"鎌倉時代"は・・・、あれ?


外国人が日本の時代劇を作れるのか?

本ゲームは、発売前からかなり話題になっていました。

当時は、フロム・ソフトウェアの"SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE"や、コーエーテクモゲームスの"仁王"など、日本の時代劇をベースとしたアクションゲームが人気でした。それらと比較され、発売前から様々な声が上がっていたのです。

特に、開発元が海外の会社であったために「外国人が時代劇をまともに作れるのか?」「洋画にありがちな、似非日本になるのではないか?」など、否定的な意見も多かったのは事実です。実は、当時の私もまったく期待していませんでした。

ところが、少しずつ情報が出てくるにつれ、そういった認識が変わっていきます。

ただ難しいのが、"ゲームはプレイしてどうか"が一番大事なところです。だから、実際に発売されるまでは、期待しつつも不安を持っているような、微妙な感覚でした。たぶん、他の方も近い感覚だったのではないでしょうか。

そして、ツシマが発売されました。

その後はすさまじい反響です。私もプレイしてみて、持っていた不安はすべて消滅しました。それどころか、日本人が作る時代劇よりも、もっと深く日本を理解しているとさえ感じました。

それもそのはず、日本人の有識者にお願いし、時代考証もきちんと行っているのだそうです。また、対馬にもロケハンに行っていたとか。この辺はコメンタリー映像でも語られていますので、機会があれば観てみると面白いかと思います。


最高の時代劇

私は時代劇が好きで、ドラマや邦画も視聴します。

ツシマは鎌倉時代の作品ではありますが、"侍の時代"であることには変わりありません。ですから、侍の立ち振る舞いなど、おかしなところがあれば、ものすごく気になるんです。

もちろん、その時代の本当の立ち振る舞いは確かめようがありません。

ですから、あくまでも"時代劇ならではの見せ方"という視点です。日本には、過去に侍を題材とした作品が数多くあり、そういったものの中で積み上げられた侍像があります。おそらく日本人なら、ある程度は共通認識として持っている部分もあるかと思います。

実は本ゲームでは、そういった隠し味が随所に散りばめられているんです。

時代劇好きには正直たまらないのです。たとえば刀の血を払う仕草など。それは一瞬で過ぎてしまう些細なモーションです。この作品では、そういった細かなところまで、きちんと作り込んでいるのです。

あとは台詞回しですね。古い言葉を残しつつも、現代の言葉で違和感がないような言い回しをしていたり。侍を想像させる堅苦しい言い回しなのに、きちんと意味が伝わってくるのです。

残念ながら、蒙古の方はまったく分からないでのが残念ですね。"アンゴルモア 元寇合戦記"という漫画も連載していたので、なんとなくの雰囲気だけは・・・。ちなみにこちらの漫画は、現在、"博多編"という続編が連載されています。


英雄"冥人"の物語

舞台は、鎌倉時代の対馬。

元の将軍"コトゥン・ハーン"が日本の対馬へ侵攻します。それを対馬の地頭"志村"が小茂田浜で迎え撃ちます。隣には甥である"境井仁"。彼らは圧倒的に戦力差の中、立ち向かいます。

・・・しかし、あえなく全滅。

戦場で気を失った仁は、見知らぬ小屋で目を覚まします。彼の窮地を救ったのは、女野党"ゆな"。彼女によって、仁は一命をとりとめたのです。

彼女は、弟"たか"を探していました。ですが、すでに戦場となってしまった対馬は、各地を元に占領されています。もはや対馬は、敵の手に落ちてしまったのです。

その後、叔父である志村が、敵の捕虜になっていることを知ります。仁は救出するために金田城(かねたのき)へと向かいますが、またもや敵に敗れて死にかけます。

それでも仁は志村の救出をあきらめず、たかの探索も手伝います。しかし、圧倒的な戦力差から、侍の"誉ある戦い"に疑問を感じ始めます。叔父を救うためには、民を救うためには・・・、侍であり続けることができるのか。

こうした葛藤の中、仁は人々を救っていきます。そうして、いつしか彼は人々にこう呼ばれます。

"對馬の冥人(つしまのくろうど)"、と。

ちなみに、英語版で"冥人"は"Ghost"になっています。つまり、"Ghost of Tsushima"とは、"對馬の冥人"という意味になります。


本編のゲームシステム

本ゲームは、3Dアクションアドベンチャーゲームです。

主人公"境井仁"を操作し、元に侵略された対馬を解放していきます。オープンワールドであり、エリア切り替えのロードも殆どありません。あるとしても、イベントの切り替え時や、特殊なエリアへの移動の時くらいです。

オープンワールドはかなり賛否両論のあるシステムですが、本ゲームではその自由度の高さが存分に活かされています。いつでも馬に乗れますし、呼べば一瞬で来てくれます。イベントで制限されているとき以外は、ファストトラベルも可能です。

基本は剣戟アクションです。様々な型や受け流し、一騎打ちなど、侍ならではの"誉ある戦い"が可能です。また、弓による遠距離攻撃もできます。

・・・ですが、このゲームはそれだけではありません。

それは、闇討であったり、暗具であったり。もうこの領域になると、侍というよりも忍者ですね。物語が進行していくと、その種類も増えていきます。物語後半は、もう完全に忍者です。劇中で言えば"冥人(くろうど)"でしょうか。

個人的には、侍アクションよりもこの忍者アクションの方が好きですね。

蒙古の拠点を攻め落とすにも、侍的に戦ってもいいのですが・・・。暗殺だけで殲滅することも可能です。こういった暗殺できるゲームは他にもあります。しかし、ここまで自由度の高い隠密アクションはそうありません。


やり応えのあるマルチプレイモード

アップデートで追加された"Legends/冥人奇譚"ですが、これがまた面白い。

元がシングルプレイのゲームなので、マルチプレイモードにアレルギーのある方もいるかもしれません。ただ、やらないのはちょっと勿体ない。プレイしてみると分かるのですが、本来これはアップデートで追加されるレベルのものではありません。

これは四人の冥人の物語です。

洋ゲーではよくあるシステムですが、あらかじめ役割が決まったキャラクターを操作します。別ゲーでは職業やジョブ、クラスといった呼び方をしますが、本ゲームでは役目と言います。役目には、"侍/弓取/牢人/刺客"の四つがあります。

プレイヤーは本編で"境井仁"を操作しますが、冥人奇譚ではこれらの役目を操作します。本編をプレイしていると気付きますが、本編の登場人物のモデルがほぼそのまま使われています。しかも、声まで一緒。ちょっとニヤっとします。刺客だけは該当者がいないので、ちょっと違いますが。

基本的には、2人か4人の共闘となっています。

これがなかなか難易度が高く一筋縄ではいきません。装備を揃えたり、強化したり。やり込み要素もあるので、かなり楽しめます。また、不具合の修正もそれなりの頻度でされていますし、アップデートで武具が追加されることもあります。長く遊べるモードですね。


ゲーム難易度

ゲーム自体の難易度はそこまで高くはありませんが、簡単なゲームでもありません。

難易度は選択できるので、自分に合った難易度でプレイすれば問題ないかと思います。とくにアップデートで追加された"万死"は相当な難易度だそうです。(私は普通でも十分歯ごたえを感じていたので、万死はプレイしていないです。かなり難しいとは聞いていますが。)

拠点を攻めるときは、隠密暗殺だけでもいけるので、チャンバラが不得意でもなんとかなったりします。ですが、メインストーリーに関わる城攻めなどでは、ボス戦があります。これがまた難しい。完全な一騎打ちで、闇討や暗具も使用できません。

幸い、再挑戦は容易なので、何度も挑戦して倒すしかありません。難しいですが、これはこれで熱くて面白いです。


トロコン難易度

トロコン難易度は低め。

問題は時間がかかるくらいです。本編もDLCも、本ゲームはとにかくボリュームが多いのです。それなり時間がかかりますので、トロコン目的でやるようなゲームではありません。ただし、ゲーム自体が面白いので、ハマってしまって一気にクリアしてしまうと思います。

時限トロフィーもありませんし、難易度に関わるものもありません。

大変なのはボス戦と、収集品ぐらいでしょうか。収集品をすべて自力で集めるのは、相当時間がかかります。さすがに私は断念して、ネットで調べました。それ以外はサブストーリーのコンプリートもなかなかのボリュームです。


酔いやすい人は注意

本ゲームは、3Dのアクションなので酔う可能性があります。

自キャラを背後から眺める三人称視点。これはよくあるカメラワークです。しかし、本ゲームは特に見栄えが重視されており、画面の中の自キャラは、少し左に配置されています。これにより、かなりドラマチックな魅せるアクションが可能です。

・・・ところが、これが原因で滅茶苦茶酔いやすいのです。

私はかなり3D酔いしやすい体質で、世間的には高評価なのに、ロクにプレイできなかったゲームもあります。たとえば、"WITCHER 3"は、どうやっても1時間以上プレイできずに断念しました。

ツシマも例外でなく、最初の1時間ほどのプレイで挫折しました。ですが、そのたった1時間でもあまりにも面白かったために、裏技を使いました。

それは酔い止めです。

本来乗り物酔いを防ぐものですが、実は3D酔いにも効果あるようで。それで、ツシマにどハマりしてた時は、毎日服用していました。・・・そんなに飲み続けてよいものかは分からないので、人にはすすめませんが。

現在はトロコンしてしまったので、たまにマルチプレイモードを遊ぶくらいです。30分~1時間程度なら服用しなくても支障ないのです。

酔いやすい人は、残念ながらこのゲームは厳しいかもしれません。


総評

本当に面白いゲームです。神ゲーです。

シングルプレイの本編、マルチプレイの冥人奇譚。両方とも面白いし、やり応えがあります。このゲームをプレイしないのは、はっきり言って損です。

ただし、酔いやすい。正直これさえなければ、私もPS4では1位のゲームに挙げたと思います。本当にこれさえなければなあ・・・。




自分の写真

鈍器の管理人・サ場

鈍器とダークファンタジーをこよなく愛するニワカゲーマー。ソウルシリーズやパズルゲームが好き。最近は、低価格帯のインディーズゲームを好んでプレイ。

アーカイブ

ラベル

QooQ