Othercide:レビュー

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3D SRPG レビュー 星4

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本稿は「Othercide」のレビューです。


本ゲームは、3D SRPGです。人類最後の戦士たちを率いて、悪夢の怪物を殲滅していきます。(PS4版でプレイし、トロコン済みです。)




世界観と雰囲気

おすすめします!・・・とは、なかなか言い難い。

・・・とても面白いのですが、なかなか人を選ぶゲームなんです。

本ゲームの開発元は、フランスのゲームスタジオ。プレイしてみると分かりますが、かなり独特の味付けとなっています。

上質なダークファンタジー

ざっくりとしたストーリーは・・・。人類最後の戦士"ママ"と、謎の"幼き者"がおり、世界はすでに崩壊しています。幼き者は迷い、ママは""たちを生み出します。娘たちは世界を蝕む悪夢の怪物と戦い、幼き者を取り戻す・・・と、いったところ。

ダークファンタジーの世界です。ゲーム中で細かい説明はないため、世界観の詳細は不明です。ゲームの進行には全く支障はありませんが、実はストーリーをクリアしてもよく分かりません。この辺りは、ソウルシリーズのようなテイストに近いでしょうか。

個人的には、"ムービー垂れ流しの一本道ゲー"は好きではないので、ゲームシステムが充実していれば文句はありません。むしろ、フレーバーテキスト読みながらニヤニヤできたりするので、逆にこういう妄想の余地があるのは好きですね。

たまらない雰囲気

ゲームのビジュアル自体がもう赤・黒・白しかありません。かなり思い切った仕様です。これは賛否両論あるかと思います。ゲームシステム上、何度も戦闘を繰り返すので、こういう見た目が嫌、という意見も理解できます。

実は、私も序盤はそう思ってました。ただ、繰り返していくにつれ、娘(ユニットのこと)がこの色合いによく映え、とにかくカッコ良くて。最終的には、このビジュアルはアリだな、と思ってしまいました。


ゲームシステム

SRPGと言えば、ファイヤーエンブレムやフロントミッション、最近だとマーセナリーシリーズなど、度々リリースされている人気ジャンルです(信長はRPGではないので除外)。

RPGパートではユニットの能力を強化し、万全の準備をします。シミュレーションパートではそのユニットを使い、戦略で勝利する。これが、一般的なSRPGの醍醐味ですよね。

使い捨ての娘たち

・・・ところが、本ゲームは少々趣向が違います。ユニットを強化できますが、万全の体制では挑めません。プレイしてみるとバランスが無茶苦茶で、面食らいます。なにせ、全滅前提なのです。

実は、・・・本ゲームは"死にゲー"なんです!

ユニットのことを""と呼びますが、戦闘が終わっても娘の体力は回復しません。・・・そう、実はこの娘は"使い捨て"なのです。

回復するには、"同レベルの娘を生贄"にする必要があります。突出して高レベルの娘を作っても回復できません。そのため、何人か並行して育てていく必要があります。・・・生贄にするために。

また、娘が死亡すると墓地に送られますが、蘇生しないと使用できません。ところが、蘇生は容易なことではありません。"トークン"というアイテムが必要ですが、取得手段が限られており、無制限には使用できないのです。

何度も繰り返される世界

一周を"回想"と呼んでおり、ゲームスタートからラスボス討伐までを一つの回想と考えます。娘をすべて失うとゲームオーバーとなり、リセットされ最初に戻されます。この時は、新たな回想になっているという扱いです。また、回想は自発的に最初からやり直すことができます。

ゲームシステム的には、ローグライクゲーに近いテイストです。回想が新しくなると、それまで使用していた娘は、例外なく墓地へ送られます。そして、新たな娘たちが自動で生成されます。もちろん、強化はありません。

ただし、引き継がれる強化もあります。"思い出"と呼ばれるもので、特定の条件を満たすとアンロックされていきます。たとえば、ボス討伐時のものは強力です。娘を新規作成した時の初期レベルを上げられたりします。レベル1から育てる手間が省けるので、格段に楽になります。

カッコイイ娘たち

ユニットである娘たちのクラスは、以下の4種類。

  • ブレードマスター:剣娘。近接攻撃の一撃特化。攻撃力トップだが防御は低い。
  • ソウルスリンガー:銃娘。遠隔攻撃で手数特化。攻撃力も防御も低い。
  • シールドベアラー:盾娘。HPと防御特化。攻撃力は低い。
  • サイズダンサー:鎌娘。広範囲攻撃とデバフ特化。消費が激しい。

サイズダンサーは中盤にならないと使用できません。基本は、盾娘が敵を引きつけながら、剣娘や銃娘で殲滅していく形になります。

・・・そんなことは置いておいて、とにかくカッコイイのですよ。ポーズであったり、モーションであったり。背後攻撃は、カットインが入るのですが、これがまたイイ!

攻撃時に「無慈悲に。(No mercy)」とか、ナレーションというか実況というか。セリフが入るので、なかなか盛り上がります。


ゲームの進め方

まずは普通に進めていきます。強化して、戦闘に臨む。この繰り返しです。

強化は出し惜しみせず

娘に関する強化は、基本的にはこの回想(周回)限りです。しかも序盤に使用する娘は、後半に使用することはまずありません。ですから、あまり深く考えなくても大丈夫です。

戦闘終了時に"記憶"というものを取得することがありますが、これはスキルに付与して強化するものです。これも回想限りなので、出し惜しみせず使い切って大丈夫です。また、娘に付与した分は外すことができず、娘が墓地に送られた時点で消失します。

なお、記憶の定着には、"ヴィータ"というポイントが必要です。これは戦闘の報酬として得られます。ほかには、娘の"胚珠"(生成)にも使用されるポイントです。

あとは、同じように"特質"というものを獲得することがあります。これは、各娘が戦闘時の行為でアンロックされていくものです。敵によってアンロックされるものは異なるようです。これは、娘が墓地に送られても消失することはありません。

行き詰まったらリセット

敵が強くなりすぎて進めない、全滅したなど。様々な理由で行き詰まることがあります。その際は次の回想に挑戦します。ただし、強化は持ち越されないので、そのままでは楽にはなりません。

ここで重要になるのがこのゲームの肝、"思い出"と"破片"です。思い出は、回想が変わっても持ち越せる強化です。特定の条件を満たすことでアンロックされます。破片は、その思い出を有効化するために使用するポイントです。

ただし、破片には使用制限があり、取得したその回想では使用できません。次の回想で初めて使用可能になります。よって、思い出はアンロックしても、すぐには使用できないということになります。

つまり、次の回想で思い出が付与可能になり、少しずつ楽になっていくシステムなのです。

ただし、そのためには少しずつでも思い出をアンロックしていく必要があります。また、1回の戦闘で取得できる破片は少量なので、コツコツ貯める必要があります。

ですからコツとしては、思い出をアンロックされるまでなんとか粘って、有効な思い出がアンロックされたら次の回想へ、という進めていくのが楽ですね。


難易度

とにかく難易度が高いです。おすすめしにくいのはこのためです。

ゲームの難易度

実は、あとからゲームの難易度が追加されています。それも低い方が。

これには理由があり、元々の難易度があまりにも高いために、途中で挫折してしまう人が多かったそうです。そのため、低めに調整された難易度が追加されたそうです。・・・とは言っても、この低難易度自体もなかなかヘビーです。

ゲームスタート時に選択できる難易度は以下のようになっています。この難易度は、あとから変更できません。

  • 難易度"悪夢":元からあった難易度。難易度"夢"の追加で、この名称になった。
    • 娘の自動回復なし:同レベルの娘を生贄にしないと回復できない。
    • トークンボーナスなし:思い出か、救出でしか得られない。
  • 難易度"夢":後から追加された難易度。低めに調整。
    • 娘の自動回復あり:次の日に半分回復。
    • トークンボーナスあり:蘇生用のトークンを最初から一つ所持。

難易度"夢"でも、十分な歯応えがあるバランスです。

実は、私は最初に難易度"悪夢"で始めたのですが、すぐに諦めました。戦闘に慣れていないというのもあったのですが、回復が生贄のみというのが難易度高すぎです・・・。すぐに難易度"夢"でやり直しました。

敵の攻撃に加え、スキルの使用でもHPが減ります。ですから、生贄をうまく使わないと、スキルすらも使えないのです。もう難易度無茶苦茶です。

難易度"悪夢"でクリアした人は、ホントにとんでもないですね・・・。

トロコンの難易度

ゲームそのものの難易度が高めなので、トロコンの難易度も高めです。

ただ、現在は難易度"夢"が選択できるため、そこまで厳しくはありません。また、ゲームをクリアさえできれば、トロコンも難しくはありません。クリアするまでにほとんど取得できます。収集系と討伐系で少し残るくらい。

難易度に関するものはありませんし、繰り返し行うゲームの性質上、取りこぼし要素もありません。チュートリアルの敵全滅は、別のセーブデータで行えば良いですし。

やはり問題は、ゲームをクリアできるかどうかですね・・・。


総評

満点ではないけど、面白い!というゲームです。

人を選ぶシステム

満点にならないのは、あまりにも高過ぎる難易度が原因ですね・・・。あとは、ローグライク的に何度も繰り返す部分は、人を選びますね。

個人的には、ローグライクって好きじゃないです。同じことを延々繰り返すので、かなり早い段階で飽きます。よっぽどゲームシステムが洗練されていないと、繰り返しに嫌気がさすんですよね・・・。

ただ、本ゲームは高難易度のおかげか、その繰り返しもそこまで嫌ではなかったです。前回の戦闘で苦しめられたけど、今回は違う戦略を試して・・・と。繰り返し戦闘も良い方向で楽しめたかと思います。

娘間のバランス

各娘のバランスは、ちょっと微妙に感じました。特に剣娘が不遇過ぎて・・・。

一撃の威力は高いのですが、それに見合った移動力がありません。スキルで多少改善はするのですが。また、ボスの近接カウンターが痛過ぎたり、移動しまくるせいで、そもそも攻撃に参加できないことも多いです。

結局、私は盾1銃2~4の構成に落ち着きました。

序盤は、防御の高い敵は剣娘じゃないとダメージ入らないので、剣娘も必須ですが・・・。後半になると、銃娘も攻撃力が上がってきて、敵の防御力も気にならなくなります。防御を上昇するスキルを使う前に瞬殺できるようになるので、そもそも剣娘要らないというか・・・。

鎌娘は登場が遅過ぎて、使わなかった・・・。

死にスキルが多い

全体的に死にスキルは多いですね。これ、いつ使うの・・・?というものも。

遅延攻撃(溜め攻撃みたいなもの)全般がシステム上、ものすごく使いにくい。大抵は溜めてる間に、敵が移動しちゃうんですよね。タイムラインを自由に操作できるわけでもないので。それだったら、普通に攻撃しちゃった方が早いですし。・・・滅多に当たらないのに、そこまで威力もないですしね。

逆に有用な必須スキルもあります。結局、スキルが二者択一なので、どうしても絶対に使わないスキルも出てきます。この辺のバランスは悪いですね。たとえば、銃娘の中断や追い打ちが優秀過ぎるので、もう一方はまず選ばないです。

若干不親切な作り

色合いが独特なので、慣れるまではちょっと見辛いです。

とにかくヘックス(マス)が、どこまでなのかが分かりにくい。行ける地形とそうでない場所が判別しにくところがあったり。

あとは、移動後にスキルで届くかどうかも判断しにくいです。移動してしまうと戻れないので、その場でスキルが届かないと気付いても後の祭り。この辺は、もう少し親切な作りにして欲しいかな・・・。

バグが多い

洋ゲーでは珍しくもないのですが・・・。結構多いです。私が遭遇したのは以下です。

  • 敵が行けない場所に潜ってしまい、遠隔攻撃で一方的に攻撃される。
  • 戦闘スタート時に、娘が移動できない。(移動不能デバフと同じ状態)
  • 中断スキルで敵の攻撃を中断した時、攻撃は生きているのに範囲表示が消える。
  • ラスボス戦闘時にタイムラインが崩れ、誰が次に攻撃するのか分からない。
  • ゲームのクラッシュ。(頻度は低い)

発売からそこそこ経っていて、それなりにバグも潰されてはいるみたいなのですが、それでもまだそれなりに遭遇します。洋ゲーの宿命でしょうかね・・・。

結論

面白いのに人に勧められないゲーム。私は好きなんだけどな・・・。勿論、難易度"夢"の方の話ですが。

なお、攻略に関しては以下を参照してください。

Othercide:ゲームの進め方

本稿は、「Othercide」の攻略記事です。ゲームの進め方と、ゲーム中の不明な用語について解説しています。



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鈍器の管理人・サ場

鈍器とダークファンタジーをこよなく愛するニワカゲーマー。ソウルシリーズやパズルゲームが好き。最近は、低価格帯のインディーズゲームを好んでプレイ。

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